ついに開幕したフィギュアGPシリーズ中国杯。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦の中国杯は7日、上海で開幕した。
今大会注目のソチオリンピック金メダリストの羽生結弦が今季初戦に臨んだ。
しかし、8日に上海で男女フリーにて男子ショートプログラム(SP)直前公式練習中に、エンカン(中国)と激しく衝突するアクシデント。あごと額部分より出血をするという緊急アクシデントに見舞われる。
ふらつきながらリンクを一旦降りた羽生は、リンクの外で治療を受ける。うつろな顔つきで、パフォーマンスも危うい状態であったのだが、頭に包帯を巻いてリンクのそばに戻ってきた羽生は、涙を浮かべながらも再び氷上へ。
羽生はジャンプなどを再び確認して公式練習を終えたが、顔は青白いまま。足取りもおぼつかない様子だった。
昨シーズンはソチ五輪、世界選手権、GPファイナルと「三冠」に輝いた羽生にとって、今回の大会は追われる立場になって挑む今季の初戦である。
最終11番目に登場した羽生。ショパン作曲の「バラード第1番」を使用した新プログラムで臨んだ。
最初のトリプルアクセルは見事に決めたが、新たに演技後半に組み込んだ4回転トーループは3回転になる。続く3回転の連続ジャンプが1度目の3回転ルッツで着氷が乱れ、連続ジャンプへとつなげなかった。
結果、今季初戦の羽生結弦(ANA)は82・95点で2位だった。
「最悪のひとこと。調子は悪くなかった。かなり悔しい。こんなんでよく2位になった」と苦笑いを浮かべた。
実は今大会、羽生選手にとってはとても意味のある一戦だった。
というのも、国際大会では、名前をコールされてからスタート位置について静止するまでの制限時間が定められているが、それが従来の60秒から半分の30秒に短縮されたのだ。 30秒以上になると減点、60秒以上だと棄権という厳しいルール改正である。
「羽生選手はこれまで約46秒かけていましたから、16秒も短縮しなければいけない」と関係者は語る。新ルールを聞いた本人も『えっ!』と絶句し、明らかに困惑した様子だった。 このままでは、羽生選手の大切な儀式である“勝利の祈り”も封印せざるを得なくなる事態に。
羽生結弦といえば、言わずと知れた氷上のプリンス。人気者ゆえ、観客からの声援はケタ違いである。となると、心配されるのは観客のマナー。30秒ルールがある以上、観客のマナーが問われることになる。
そして迎えた運命の一戦。開始10秒前に会場は静寂に包まれた。
その反動か、試合中の技が決まった瞬間や、試合後の歓声は人一倍大きいものであった。
フィギュアスケートに限らず、スポーツに"集中"という場面は必ず必要。選手への歓声は選手のやる気を引き出すエネルギーになるが、時に選手の集中力を欠く要因にもなる。
プロゴルファー石川遼選手が、プレイ中カメラのシャッター音に腹を立てたのは記憶にある方もいると思う。
選手が安心して集中出来る環境をつくるためには、観客のプレイも大切なのだ。
画像出典:Sportiva
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